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最近流行の注目単語③ ビッグデータ・IoT-製造業における活用事例とポイント-

2018.08.27

今回は「ビッグデータ」「IoT」の事例を紹介します。分析・現場改善のため当然データ収集が必要になりますが収集について工夫やつまづいた点を記載しました。特に「3)製造業でのIoT事例」は安くすませる手作り的なやりかたを100%否定するものではないですが、つまづいてしまった事例です。
*「ビッグデータ」「IoT」の詳細については書籍で勉強していただき、ここでは活用のヒントとなる事例を二つ紹介します。
*機密保持のため、若干抽象的な表現になっている部分があります。

1)ビッグデータ、IoTについて

近年毎日のように新聞やニュースで見る単語「ビッグデータ」があります。そのままだと大きなデータという意味です。しかし2012年ガートナー社が出している「ビッグデータ」の定義には以下の3つの「V」と呼ばれるもののうち性質として、1つでも含まれるものとなっています。

High Volume高ボリューム

データ量の事ですが、明確な基準(例えば100GB以上、1TB以上)といった基準はありません。そのためどんなデータでもビッグデータになり得ます。

High Velocity高速度

高速度で発生されるデータの事になります。例えばですが、今までは分単位だったものがミリ秒いやマイクロ秒でのデータが現在取得されつつあります。

High Variety データの幅広さ

データの発生元は、従来取っていたデータだけではなくソーシャルデータのテキストやその他GPSデータの位置情報をも活用されています。

データを産む元として、「IoT」があります。IoTは「Internet of Things」の略で、読み方は「アイ・オ・ティ」になります。コンピューターで接続するものはコンピューター同士だったものが、近年ではスマートフォンやタブレット端末、スマートスピーカー等で何にでもインターネットに繋がっています。これらの繋がっているものの位置情報、温度情報を手軽にデータとして取れるようになったというのがIoTとビッグデータの関係です。

従来から製造業ではセンサをつけてデータの取得を進めてきていました。近年増々、色々なセンシング対象に関してよりリーズナブルな価格ですぐにセンサを設置できるようになってきています。またスマートフォン等も利用する事で作業員の状態をスマートフォンやタブレットで追う事も以前よりも容易になっています。(*スマートフォンはその性質上持ち込み不可の工場も多いのであくまで一般論です。)

2)製造業でのビッグデータ事例

業種:半導体メーカー
従業員数:非公開
活用ポイント:いかにして大量のデータを扱い、貯めていくか。

半導体製造に限らず全ての製造工程で、生産ラインを通過する単位時間当たりのロット数を増やせば当然製造の効率性は向上します。また生産ラインを通過するのに要する時間を減らせば効率性を向上します。ただ問題は製造総データ量で、1日当たり出てくるデータは約1ペタバイト(≒1024テラバイト)という千兆バイトで、もはや貯めておく事も出来ず毎日廃棄せざるを得ない状況でした。* Google画像サービスのデータ量は1日当たり約14ペタバイト

近年半導体のサイズは小さくなってきています。面積が小さくなればなるほど外側のパッケージなどの小型化及び軽量化やチップ内部の縮小効果による電力削減、トランジスタのチャネル長の減少による低電圧化につながります。

この小さなものをシリコン基板(ウェーハ)からダイシングと呼ばれるカットする工程にて、切り出していきます。ただ当然工程も多いし、製品検査や試験もやっています。このようにシリコン基板から大量に非常に小さな半導体を製造するためデータ量が膨大になってしまっている状況です。

「単位時間当たりのロット数を増やす」、「生産ラインを通過するのに要する時間を減らす」ためにはこの「データ量」と戦う必要があります。数値データの圧縮に適したアルゴリズムを作成、約10%程度まで圧縮できるようにしました。ただこれでも学習を全件するにはまだまだ今のPCでは出来ません。

そこでデータ一括で学習する一括学習ではなく、オンライン学習といわれる学習データが入ってくるたびにその都度、新たに入ってきたデータのみを使って学習方式を採用しました。 一括学習に対しての大きな違いとして、学習を行う際に1からモデルを作り直すのではなく、そのデータによる学習で今あるモデルのパラメータを随時更新していくと流れになります。

その結果、歩留りの要因分析ができるようになりました。不良品と良品の差異をみるだけならば、ロジスティクス回帰分析で、どの工程がボトルネックでどの項目が最も統計的に製品のばらつきに繋がるのかを確認出来るようになりました。

3)製造業でのIoT事例

業種:食品メーカー
従業員数:約300名
活用ポイント:装置の稼働状況を把握が先決、また、安価な手づくりシステムも案外落とし穴がある、信頼ある産業用製品を使うほうが精度面や信頼性上ベター。

稼働状況を把握しないまま、各個人であそこがどうこう良いや悪いといった事を議論しても仕方が無い、この会社ではまず各ラインの稼働状況を把握して次に改善を実施しました。
ただ当初は、IoTでデータを取得、稼働状況を把握しようとしていましたが、外部のITベンダーに頼むと見積りが千万円代で費用がかかりすぎる事がわかり断念してしまいました。

費用抑制を考えていたところ、社内に情報システムやセンサにたけている元半導体のエンジニアをやっていた人がおり、食品の詰めが終わったタイミングを測ることに仕様を絞れば光センサを用いてできるのはないかということになりました。この工程も時間がかかってそうというのはなんとなく判っていても定量把握ができていませんでした。一旦取りやすい所及び時間が最もかかっている所を取ろうという所で絞ることになりました。

社内のエンジニアはIoTセンサを秋葉原で部品を買い自作しました。センサのデータを受けるネットワークを整備、表示するもの80万と安価で済みました。ただし問題もありました。自作IoTセンサのデータがちょくちょく消えていて取得できていない事でした。欠損はありつつもデータも溜まってきている事もあり、分析フェイズになりました。

分析は私が担当する事になりました。ただし、分析の方よりもやっかいだったのは欠損データでした。一部が書き換わり、消えているため、本当に全体として正しいのかが不明という状況になっている状況でした。こういった時はデータがどこで消えているかを1つ1つ追っていくだけになります。最初のセンサで取得する所、そして取得してメモリー上から内部のSDカードに書き込み、そこから表示のほうへ飛ばす所とそして貯める所といった流れになっていきます。

その中で、見てみるとSDカードにちょくちょく書き込まれておらず、データはセンサ側で取得出来ているという事がわかりました。そのためふとSDカードを見ると、通常の500円ぐらいで買ったSDカードでした。産業用では実は高耐久で書き込み回数が多くても大丈夫なものを使うものなのです。一回の書き込みデータ量も少ないため、産業用としても1000円ぐらいで買えるもので済みます。そのため産業用のSDカードに変更してみるとデータの消えている所がなくなりIoTシステムは確立されました。

この案件は統計や機械学習のようなものは使わず、時間がかかっている工程をさらに分析していわゆる地道な改善の結果、驚くべきことに1時間あたりの生産個数は約3割も増加しました。

今では毎週のごとく取得されたデータを元に改善の方法を話し合っているという状況でなかなか楽しい現場になっているそうです。各時間だけのデータでしたが、他の工程の人が色んな工程を知る事が出来る事によって仕掛かりのタイミングを変えたり、他の工程のことを話す時間が増える事でお互いの改善ポイントや作業内容を良い方に変えたり例えば定点作業化、手持ちを削減という事で改善したそうです。

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