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異常検知・歩留まり向上 事例ベース @ 機械学習にてやる方法とその落とし穴

2019.1.15

今回は異常検知・歩留まり向上を実施する場合の落とし穴について事例を紹介します。
*分析手法の詳細については書籍で勉強していただき、ここでは活用のヒントとなる事例を三つ紹介します。
*機密保持のため、若干抽象的な表現になっている部分があります。

1)異常検知・歩留り向上に関して

製造業において、データ分析が用いられてきていますが、様々な適用対象があります。以下の図に示します。

特にデータ分析の対象として多いのが、製造関連の不良原因関連になります。昨今は不良品の発生頻繁が少なく、それでも歩留り向上したいという案件が増えています。少数の異常でも見逃せないのはそのためにライン検査等で数日稼働停止にしないければいけない場合が多いということが主な理由で、原因特定を望まれます。

異常検知への取組みは多くのAIベンダーで行われていますが私の知る限りAIベンダーが失敗、PoC死と呼ばれる状況に陥っています。PoCは有効性の確認という意味を示しており「死」という言葉を合わせて初期の有効性が確認出来ないという意味です。AIの導入をしようとして有効性が確認出来ず撤退している事が多いというのが現状です。

マーケティングのようなマクロな施策や分析とちがい、不良が少なくても検知というシビアな状況でモデルを作れるスキルの人が少ないのかなあというのが実感です。ただしシビアなモデル構築以外のPoC死というのも大いにあります。

PoC死の理由として、以下のような事が挙げられます。
1.費用対効果が上がらなかった
2.適切な目的を設定できていない
3.運用を軽視している
私の知る限り残念ながら、これらはどんなAIベンダーでもある話で、逆にそういった失敗がない会社は存在しない?と思います。事例を通じてこれらをお話させていただきますので貴社の取組の参考・成功につながれば幸いです。

2)製造業での異常検知・歩留まり向上の活用事例1

業種:化学メーカー
従業員数:非公開
活用ポイント:異常数が少ないため上手くモデルが作れなかった

この案件を受けたときは、もう既に分析ツールも導入していたという状況で最初のPoCは完了しており、異常検知するモデルも出来ているという説明でした。そういう状態なら私たちの出番はインフラの部分やそれに付随するマニュアルの作成が主な仕事となります。もう楽な仕事だなと高を括っていたのです(それは間違いであることが多いのですが)。

実際に私たちがモデルの動かしてみると確かに動きます。そこで異常な状態をわざと入れてみましたが検知できません。モデルの中身を見てみるとどうやら異常が上手く学習出来ておらず全て正常と判断しているモデルのようです。モデルを評価するというステップをしていなかったようです(やっぱりという状況でした)。

通常モデルを運用する際は、複数のパターンを用いたテストデータからモデルの機能を評価します。どうやら運用テストをしていなかったようです。これは勿論モデルとして意味をなしていない事になります。

重みと呼ばれるもっと異常を当てやすくする方法や異常データを増やす事で異常検知ができるようになりました。技術力不足でこのケースは当初は異常が検知出来なかったので1番の「費用対効果」が上がらないパターンになります。

3)製造業での異常検知・歩留まり向上の活用事例2

業種:家電メーカー
従業員数:非公開
活用ポイント: 異常が出にくい場合の検証方法の事前考慮要

この案件は最先端の技術を用いた分析が出来るという事もあり、ワクワクしていました。Few shot learningと呼ばれる「少しのデータでも分析が出来る」という技術を使う事が出来るからです。少ないデータを単純に増やすだけではなく、データそのものから上手く特徴を見つけ出す事が出来るのです。事例があるが少なく、チャレンジかつ実践的な活用なため、私は非常にワクワクしていました。

対象は家電向け液晶プロジェクターのエラーログの分析です。エラーログを常にネットワークで収集する製品ではないため、お客様が使っていて、電話等で連絡があって初めてエラーがわかるという状況でした。分析は複数機種が対象ですがエラーログによっては3件しかないというものも機種も存在していました。

少ないデータから学習して異常検知モデルも無事に作成でき、これならば上手くいくなぁと考えていました。しかし実際に運用するというフェーズになった時に、トラブルがあったのです。異常検知のモデルを実運用した時のテストをするのですが、過去約5年間で3件しかないエラーのため、テストするためにもう一度を取るのですが、「当然取れません」約半年粘ったのですが一回も起こりません。

正直にクライアントに言ってこのエラーに関しては諦めてもらう事になりました。しかし本当はしっかり最初の時に、データのテストに関する取り決めも必要になります。このケースでは、最初の時に「適切な目的を設定できていない」というのが問題になっています。

4)製造業での異常検知・歩留まり向上の活用事例3

業種:ハードウェアメーカー
従業員数:約3000人
活用ポイント: 機械学習は運用フェイズでのトラブルが多い

この案件受けたとき分析としては、2つやりたいことがあるという話でした。1つは、不良のメカニズムや要因を知りたいという事で2つめは不良が出るものについては、予測したいとの2つでした。やり方としてはよくあるパターンだなと思い、要因分析を終え、モデルを実装する事で予測も可能になりました。

一部データが取れていなかったものもあるのでインフラ構築であるハードウェアやネットワークそれらの設計などもあり、なかなかハードな仕事だったのです。余談ですがオンプレと呼ばれるデータを現場の新しいサーバーに保存するというケースだったため、床の強度を計算しながら荷重を計算したのも新しい経験でした。

割とトラブルは無く実装し、試運転までいったのですが、運用しだして4カ月程してからモデルが当たらないクレームが発生しました。これはまずいと思い、私も現地に行きモデルの状況を見ると、秋になると湿度が下がり異常になりやすい理由が変わっているようでした。

モデル作成時に、季節の項目が想定していなかったためこのような事態に陥ってしまったのです。急いで季節の項目を入れて、再学習し、上手く学習が回るようにチューニングをしました。このケースでは、最初の時に「運用を軽視している」というのが問題になっています。

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